2008年08月16日

エイサーのルーツをたどる旅:11

エイサーのルーツは袋中上人ではないっっ!!!ヾ(。`Д´。)ノ

この、従来の歴史研究家たちののど元にナイフを突きつけるような、妄想力によるテロ行為をもう少し続けてみたいと思います。
もちろん、妄想のナイフです。
エアギターならぬエアナイフなのですぞ!

えいさ.jpg

従来の歴史研究家たちが、袋中上人がエイサーのルーツであるとする根拠は、「琉球国由来記」(1713年)に、袋中上人が那覇で念仏を人民に伝えたという記述があることによります。
また、1745年に琉球王府が編集した歴史書「球陽」にも、念仏を『俗語に和して之を那覇人民に教ふ』と記載があります。

袋中上人の布教には、儀間真常(琉球に甘藷を広めたり、精糖法を伝えたりした人物)の後ろ盾もあったようです。
そのため、儀間真常の領地であった垣花、具志、小禄には昭和の初め頃まで袋中上人の伝えた念仏が伝承されていたそうです。

俗に小禄浄土、垣花浄土とそれらの場所は呼ばれ、その念仏は「小禄念仏」などとも呼ばれたようです。
そのスタイルは、「南無阿弥陀仏」を繰り返し唱えながら、鉦を打つというものです。



しかし、どの文献を調べても、袋中上人やその弟子が那覇以外で布教活動をしていたという記録は一切見られないのです。
また、実際に念仏踊りを広めたのは念仏者(ニンブチャー=京太郎)であるということは、エイサーの起源が袋中上人であるとする研究でも多くが認めているところです。

さらに、念仏者たちが広めた念仏踊りは、どうやら袋中上人が広めたものとはスタイルが違うようなのです。
袋中上人の伝えた念仏は、あまりに静的すぎるのです!



ここで、内地で発生したエイサーのルーツの一つと考えられるものに「足踏(へんばい)」があります。
葬儀の際、足を踏みならすという呪術です。
足を踏みならすことによって、凶癘魂を鎮めたというものです。

これは、やがて時宗の念仏踊りに継承されます。
現在のエイサーは、勇壮に足を踏みならします。
ここまで派手になったのは最近でしょうが、ある程度の原型は前からあったはずです。
これは、袋中上人が伝えたとされる、浄土宗系の念仏には見られなかったものです。


一方、松岡心平著『宴の身体』(岩波書店)によると、時宗の踊り念仏は、足を踏みならし、時には板敷をふみおとすほど激しいものだったといいます。
一遍の主催する原始的宗教劇団は、その激しいパフォーマンスを通して観客としての民衆を陶酔させ、旧来の宗教界の地図を塗り替えていったのだというのです。


また、網野善彦著『異形の王権』(平凡社)によると、『天狗草紙』(鎌倉時代の絵巻物)には時宗の踊念仏を「異類異形」の天狗として描いています。
時宗系の念仏は、「非人」と呼ばれたひとたちとの親和性が高く、「異類異形」の人々を受け入れたり、また全国を遊行して念仏を広めていました。


このあたり、「河原者」をルーツに持つ京太郎(チョンダラー)と関係が深そうです。


さらに、時宗は念仏踊りだけでなく、様々な芸能の発祥地ともなったそうです。
このあたり、機会を改めて詳しくみていきたいと思いますが、京太郎(チョンダラー)の集団が、単に念仏踊りを踊るだけでなく、様々な芸能を行う集団であったことと共通性があります。


そしてもうひとつ、時宗は京都に「四条道場」という踊り念仏の本拠地を作っていたそうです。
それは室町末期においてもなお盛況であったといいます。

ここで、江戸時代に入るか入らないかの頃に京都から来たといわれる「京太郎」との関わりもみてとれます。



琉球で京太郎たちの舞う念仏踊りは、それを見た庶民が真似をして継承していくほどのものでした。
それは、激しいパフォーマンスにより民衆を陶酔させたからに他なりません。
荒々しくほどばしる、情熱がその踊りの中にあったからこそ普及したのでしょう。


そのような念仏踊りが、果たして袋中上人が伝えた静的な念仏と同じであったでしょうか…?
答えは「」と言わざるを得ません。
また、袋中上人の伝えたような念仏を京太郎(チョンダラー)がわざわざ覚え、「芸」として広めていく必要も感じられません。


袋中上人は時の権力者と結びつき、歴史に名を残しました。
さらには、琉球・沖縄での権勢を得ようとする浄土宗によって、それは「神話」と化されました。


けれども、本当に大事なことは歴史書に描かれないところにあるのです。


琉球の念仏踊りは、時宗系の流れを持つ、流浪の遊行者たち(=河原者)によって伝えられたとよーかいは確信します。


エイサーを広めただけでなく、伝えたのも京太郎(チョンダラー)なのです!!!o( ̄へ ̄*)むん
posted by よーかい at 00:36 | 沖縄 ☁ | Comment(6) | よーかい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
京太郎と天狗信仰が時宗を通して結ばれていたんですか!
内地での天狗信仰は反権力の象徴として受け継がれて来たようなので、その辺りの記述もその著中には、詳しく触れられているんでしょうか?

エイサーでの天狗役、つまりは仏道を心得た義人は即ち存在するのでは?と推測したくなりますが、いかがでしょうか?
Posted by 丹下段平 at 2008年08月16日 11:25
>丹下段平さん

んんん、「天狗草紙」は、天狗進行の本ともちょっと違うのです。
様々な「異形異類の民」を、半分は畏れ、半分は蔑視しながら「天狗」とまとめた本なのです。

たしかに反権力、そして、「異形異類」であるがゆえの「特殊な力」にも注目していることは間違いありません。


だけど、この本で「義人」というニュアンスで「天狗」をとらえているかというと…そうは言えないと思いますですσ(^_^;)
Posted by よーかい at 2008年08月17日 21:20
初めまして。袋中上人の故郷、いわき市のものです。
袋中上人ばかりでなく、所ジョージさん(婿入り先がいわき市。上人縁の寺真下が、嫁さん実家)も沖縄に別荘を持ち、沖縄情報発信をしたり、花粉症に効く泡盛の宣伝等でもいわきと沖縄は関っています(他にも細かい話もありますが)。
後は、個人的に京都(だん王法林寺)を軸にして黒い招き猫を使った、いわき→沖縄→京都の連携が出来ないか模索しています。
さて、エイサーのルーツを袋中上人の功績のみに求めると、色々あるでしょうが、エイサー発生の元の一つと考えれば無理は無いかと思います。上人が儀間真常やテーラシカマグチら協力者の力を借りて、一般向けに易しくした仏教に節をつけて説教したものが、エサオモロや毛遊びと融合、京太郎や念仏者により広められたと言う解釈が近いのかなと思います。
それから上人の布教ルートは、磐城→琉球→京都の順になります。
じゃんがら念仏踊りと言われる以前にも磐城に念仏踊りがあったかは更に調べないと分からないでしょう。踊りの件は沖縄といわきの結びつきを強調するために出た説かも知れませんが、400年前の事なので、そこは良く分かりません。
後は、観光資源や地域間ネットワークの構築に伝説を役立てるか、学問的に正しい道を行くかというところでしょうか。
学問的に世の中の伝説を検証するなら、半分以上は、消滅するとの話もありますので、観光は観光、学問は学問として分けた方が良いのかもと思っています。
スポッツ
Posted by スポッツ at 2009年07月11日 12:51
>スポッツさん

返信大変遅くなってしまいました。
ごめんなさいm(_ _;;;;;)m

沖縄県の教員採用一次試験などで、ここのところこのブログに足を運ぶヒマもないほど忙しかったのです。


スポッツさんのコメント、とても興味深く拝見させていただきました。
とくに、上人の布教のルートが磐城→琉球→京都の順であったということは初めて知りました。
そうすると、じゃんがら踊りは上人が京都から持ち帰ったものではないということになり、新たな興味深い「謎」が生じてきますよね?
時間が出来たら、是非調べてみたいです。


以前、山形に3年間仕事の関係で住んでいたこともあり、福島にはよく車で足を運びました。
だけど、じゃんがら踊りを生で観たことはないんです。

ぜひ、いわき市を訪れて、生でじゃんがら踊りを観、地元の図書館で文献を調べてみたいなぁと思いました。


貴重なご意見と示唆、本当にどうもありがとうございました!
Posted by よーかい at 2009年07月28日 01:44
こんばんは。お忙しい中お返事頂きありがとうございます。
じゃんがら念仏踊りとエイサーとの直接的な関係は謎ですが、袋中上人とエイサーとの間には何らかの繋がりはあったと思っています。
山形でご生活なさり、福島県にもいらしていたのですね。
いわき市は、福島とは言っても茨城と接しているところなので、山形からは遠くなってしまいますね。
お盆も近づき、市内や北茨城等あちこちでじゃんがらが見られる時期ももうすぐです。謎はともかく、チームによりますが、じゃんがらのリズムも中々感動的です。

いわきも沖縄程ではないかもしれませんが、海あり山ありで良い所です。
機会がありましたらお越し下さいませ。
スポッツ
Posted by スポッツ at 2009年08月06日 21:08
平戸にもじゃんがらはあります。
お盆に家々を回ります。
Posted by コロリ at 2015年08月29日 19:44
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